登山旅行記

韓流登山ブーム到来か?

韓流登山ブーム到来か?
冬ソナ、オールイン、夏の香り、など、近頃は韓流ドラマブームが真っ盛りで、
ソウル行きのフライトに乗ると、団体ツアーの女性陣が大半の席を占領している。
飛行機内のその喧しさは凄い物で、男優さんの写真集、ロケ地の地図を手に、大盛り上がりをしているのである。
一昔前は正式な出張でも、韓国へ行くというと、たいがいは”旦那!ええとこ行きまんな~”とか女性陣からは白い目で見られた物である。
しかし昨今の韓流ブームのお陰で、出張男性の韓国旅行も肩身の狭さを感じなくなってきた。
私の韓国旅行歴史はソウルオリンピック1988年頃より始まる。
それ以来仕事で韓国へ行くことが度々あるのだが、必ず空き日を設定し 仕事と称して韓国の山を楽しんでいる。
実際最近は、日本人でも韓国の山へ行く人が増えていて、店頭で質問される事も結構増え 仕事に役に立ってきているのではあるが、先見の明が有るな!と自画自賛をしている。
ひょっとして韓流ドラマならぬ 韓流登山ブームが来るのではと密かに願っているのである。
今回M氏より紹介があり、韓流登山シリーズを書かせていただくことになったので、よろしくお付き合いをお願いしたい。
今回は具体的な山の紹介ではなく 何故そんなに韓国登山が面白いか?理由など韓国の登山文化について紹介して見たいと思う。
<まず韓国の登山人気だが>
一言で言って、滅茶苦茶に凄い ソウルだけでも登山専門店が何軒有るか全く見当が付かず、(百や二百の数ではない)有名なトボン山の登山口に軒を連ねる登山専門店ストリートだけでも、数えるのが苦しいぐらいに有る。
その上登山道 日本では想像の付かないが、路上に構える屋台登山店も多く これがソレゾレ成り立つ土壌が十分にあるのである。
土曜、日曜日には、人が山を埋め尽くすと言っても決して過言では無いぐらいに登山者が多いのだ。
最盛期の富士山ぐらいの人が普通に歩いていると思って良いのである。
ウイークデイでも、常に山は人だらけ、皆仕事をちゃんとしているのか?と気になるぐらいだ
中心年齢層は20歳~50歳で、これも全く日本と異なっている。
従って滅茶苦茶に賑やかである。
私が昨年全羅道 知異山に行った折り 高校生の登山グループ(多分100人以上)が次から次とドンドン上がってきて 夕方寒い中でも平気で食事を作っていた。
全員揃いのザック(学校名と番号が打ってある)を使っているので、高校登山部であると推測されるが、本当に皆 元気が良いのに圧倒されたのである。
我が国では登山は健康運動というイメージがあるが、韓国では登山は純粋にスポーツとして皆楽しんでいる。
国民気質もあるが 日本では日帰り登山クラスでは、服装を余り拘らない人が多い、近郊の山などでは、市場で買ったようなシャツとズボン、それにスニーカーのような人も多い、しかし韓国ではそんな人は100%いない 皆高級品で頭の先から足下までバッチリ決め込んでいる。
見た目に大変拘る国民性ではあるが 兎に角凄い! ショップを営んでいる私から見れば 韓国登山市場は宝の山に見えて仕方がないのである。
私も昔 真剣に韓国出店を考えたほどである。
何故出店を止めたかというと 韓流ドラマなど無い時代で、余りに頻繁に韓国出張をするので、家内がなんか悪いことしてるんちゃうか?(ホンマに潔白です!!)とかなり疑われたのが理由である。
今思えば残念だが、私の事だから やっぱり行か無かったことが、今の家庭円満に貢献していると思うのである。
さて話は戻り、? 本題に戻ろう
 韓国の山はどんな山なのですか? 
と言われると、一瞬ちょっとがっかりするが、大半が日帰り登山の山である。
標高は800m~1500mが殆ど 日本人にとっては、高さに関して見る物は無いである。
では何がそんなに良いのか?というと 簡単にアルピニズム登山が満喫できると言う所に着きる
山容は? 
簡単に言えば 私の祖父の名前のように岩松 岩と松で出来た山である。
済州島の漢羅山を除き 全部岩稜の山である。
山自体が、槍ヶ岳や穂高の頂上付近の美味しい部分だけ切り取って、平地にドンっと、置いたような山ばかりである。
それが大阪の生駒山のように、凄く身近に有るのである。
例を挙げるとソウルにある有名な北漢山だが、街のど真ん中ソウル支庁舎前から一時間で登山口に到着する事が出来る。
コースも多彩で、ご年配向きコースから超ハイグレードクライミングコースまで多種多彩なコースが選べる。
見た目の迫力は抜群で、高度何百メーターもある大砲弾丸型 一枚岩の山がそそり立っている。
始めて見た日本人は こんな山どうやって登るのか?と尻込みする程である。
岩肌に取り付けられた階段やワイヤーを便りに登るのであるが、その高度感は素晴らしい
圧倒的な迫力で岩山が迫ってくるのだ。
私の家内の話だが、昨年白雲台に遊んだ折、帰日してから4日目に成るのに、手が震えて文字が書けなかったのだ 理由は岩稜部の数時間 怖くてワイヤーを滅茶苦茶握りしめていたらしいのだ。
慣れないとそれ程凄いのである。
慣れた韓国人は、45度以上有る岩肌をワイヤーに頼らずフリーでスタスタ登る。
落ちれば間違い無しにあの世行きだ。
我々からすると、まさしくサーカス登山である。
恐ろしや!韓国登山者だ
<山小屋>
日帰りが中心の中で、私が知っている中では、雪岳山と智異山に山小屋がある。
日本のように食事のサービスは無い。
全て自炊登山である。
山小屋の一階、屋外に炊事専門のスペースが備えてあり、皆ココでワイワイと炊事をしている。
できあがった物は山小屋内では食事は厳禁だ。
屋外でするのが規則である。
私が昨年泊まった智異山チャントクモク山荘では、お菓子すら小屋内で食べることが出来なかった。
今の韓国には自由な雰囲気のイメージはあるが、少し前までは軍部政権であり、今でも徴兵制度がある国だ。
規則破りは絶対に認められない。
宿泊は全て予約制で、突然に行って泊まることは出来ない。
事前に必ずインターネットか何かで、予約が必要である。
私のような外国人が一人の時は、お情けでお目こぼしがあるが、外国人でも3人なんかになると、多分宿泊は出来ないと想像する。
大変人気があるので物理的に宿泊スペースが限られているのも理由であろう。
後 絶対に語っておきたいのが、
登山の食文化である。
彼らは兎に角よく食べる 山中でも大勢が集まり大々的に弁当を広げ 滅茶苦茶長時間食べまくる 呑みまくるのである
岩だらけの危ない山で飲酒登山など日本ではとても考えられないが、韓国では至って普通なのである。
あれやこれやゴチャゴチャ言わないで 兎に角 山を楽しむのである。
但し儒教国なので上下の礼は、かなり厳しいので、これは心得ておかないと行けない。
そして極めつけは 下山後の反省会だ。 登山口には居酒屋(スルチブ))が延々と軒を連ねている。
キンパプ屋 ソルロンタン屋 ウナギ屋 穴子屋 生イカ屋 など 細かくジャンルに別れている。
日本なら一つの店で、あれこれ出すはずの物が 必ず一つの料理専門なのであるそしてそれが、どの店も大変混んでいるのだ。
あれだけ山中で食べた上に 下山後も反省会で大盛り上がりするのだ 恐ろしや韓国登山食文化である。
かくいう私も 後学のために必ずチャレンジしている。
日本人一人で入ると 必ずお店の人 登山仲間が寄ってきて あれこれ親切にしてくれるのだ。
このおおらかさが 一番の魅力である
日本には 山容、高さ、難易度、奥深さ 景色など、韓国と比較すると 遙かに素晴らしい山がいっぱいに有る。
がしかしだ 韓国でないと この登山食文化だけは絶対に味わえない。
是非皆さんも 韓流登山にチャレンジしてもらいたい。
きっと虜になること請け合いだ。
ちなみに私の店(ヨシミ)には 韓国登山のコース地図、写真などが色々有るので、ご興味のある方々には、ご相談に乗れる。
是非いらしてもらいたい。

韓国の山 智異山に登る

<おおらかな山、智異山 >
韓国語でチリ山と呼び、朝鮮半島南部全羅道に位置し、(雪岳山)ソラク山、(漢羅山)ハンラ山、と並び韓国の三大峰としてその名は轟いている。
ハンラ山は死火山の独立峰、ソラク山は岩稜峰、チリ山はそれらと全く異なる大きな山塊で、端から端まで歩くと最低3泊4日はかかり、韓国では唯一数日かけて稜線縦走登山が出来る山である。
雄大な縦走登山は人気が高く、ソウルから北側登山口までの直行バスは、頻繁にある。
宿泊設備に関しては、テント泊か小屋泊まりだが、韓国の山小屋は待避所と一般的に呼び、日本のような食事サービスは一切無い。
従って小屋泊まり登山でも、自炊登山に成る。
勿論チ~ンご飯や缶詰は売店で買う事が出来るが、とても味気なく、山の楽しみが半減するので、しんどくても持って上がるべきであろう。
山麓には新羅時代からの名刹が大変多く点在し、山行後お寺周りすると、レンタカーを借りても3日は掛かるのではないだろううか。
山容は)
韓国独特の岩稜がむき出しの、岩と松の山ではない。
遠くから山だけを望んだ感じは、日本の山の様な、なだらか~で優しい雰囲気が伺われる。
しかしいったん山には入り歩き出すと、道はやっぱり韓国、岩だらけで殆ど土道は無いと言って良いだろう。
チリ山というよりはチリ山脈と例えた方が、適切では無いかと思う。
多くの峠からはあちらこちらへ道があり、下山時間が6時間ぐらいが平均なので、エスケープルートとして十分に活用できるだう。
計画を大きめに作り、体調や天候次第で臨機応変に山行内容を変えるのも良い。
なにせ韓国でも、滅多に行ける地方でないから、行ける時には贅沢な計画を立てたらどうか。
交通アクセス)
往路=釜山市金海国際空港から西部市外バスターミナル迄タクシーを使い高速バスでチュンサン里登山口迄行く
帰路=ペクムドン登山口からバスを3回乗り継いで、やっとこさ釜山に到着と言う、とても複雑な行程に成ってしまった。
几帳面に日記を付けない私には、後日説明が出来ないのが申し訳ない。
登山行程、コースタイム)
一日目)チュンサン里登山口>120分<ポゲ寺>150分<チリ山頂上>80分<チャントクモック待避所 宿泊
2日目)チャントクモック待避所>130分<チョデ峰>30分<セソク山荘>230分<下山ペクムドン登山口到着
民泊宿泊
行程まとめ)
全羅道はなかなか訪問するのに、交通手段や掛かる時間も大変で、かなり思い入れを強くしないと行く気が起こらない所である。
今回一番の問題は、いかにスムースに短時間に登山口に着くかであった。
余りに複雑に手間がかけると、登山口に着いた頃には、登る意欲がなくなるからである。
あれこれ考えたあげくに、本町にある大阪韓国観光協会へ訪ねる事にした。
受付の女性は、とっても親切で、バス路線表や時刻表も持ち出してきてくれて、登山口のチュンサン里へ行く方法を考えてくれたのだが、やはり釜山からはいる方が良いだろうと言う事になった。
ただ釜山からは路線高速バスを乗り継いでいく方法なので、バスを乗り間違えない様にしないと行けないのだ。
韓国での話しだから、思った様に行ける保証が無い上、ずいぶん長い間バス旅行をしていないので、自信が薄れていたのだろう、出発前夜はあれこれと復習してなかなか寝付けなかった。
しかし当日、実際は釜山西部高速バスターミナルから乗り換え無しで一発で、チュンサン里登山センターにあっけなく到着してしまった。
運の良い方の予定外の結果となった。
まだ3時前だったので民泊を探すのも余裕余裕、飛び込んだ民泊部屋に荷物を解いて、軒先で早速メクチュ(麦酒)で、”ラッキー!本日はご苦労様”と自分に声をかけた。
夕食時、宿の主人に登山ルートなどの情報確認をすると、大体頂上まで4時間ぐらいらしい、
道も全く解りやすいと言う事で、何とかなるやろ!と半分安心して部屋に入った。
窓からはチリ山が見える。
夜空には星が輝き、明日の晴天を約束してくれた。
翌日6時に、玄関に降りて主人が登山口まで車で送ってくれるのを待っていた、がっ 全く現れない。
どうしようもなく20分程ボ~としていたら、女将さんが起きてきて、変わりに送ってくれる事になった。
車中で事情を聞くと、御主人は夜半に博打仲間と外へ出かけたまま帰ってきていないらしい。
私との約束は勿論忘れたようだ。
確かに夕食時食堂で食べていると、近所の悪友が集まってきて花札を延々とやっていたのだが、初っぱなから出鼻をくじかれた格好となった。
しかし登山は至って順調であった。
登山道は道標も極めてしっかりていて、間違いようもなく、登山者も多い。
緊張する事も無く、楽しくリラックス出来る山歩きとなった。
道は沢沿い、やはり岩の上や横をあちらこちらへ縫って歩く堅い道である、後で足にトラブルが起こらない様に、最初はゆっくりと歩く事を心がける事にした。
ポゲ寺への道は木立の中を歩くので、展望は殆ど無い、単調な道ではあるが、韓国の木立は木が低いので、意外と暗い感じはしない。
120分程でポゲ寺に到着。
この寺は山の中腹にあり、ここまでお参りだけの登山者も結構多いのが、目に付いた。
寺は大きな岩の上にお堂が建っていて、展望も良好である。
山頂までは、ここが最後の水場、岩の間から湧き出る、ありがた~いお水である。
韓国の場合これらを”薬水”と何処でも呼んでいるが、ここの水は特に大事にお祭りしてあって、有り難さが数倍増している。
お布施をすると、尼さんがマッカ瓜を剥いて下さった。
50歳以上の人には懐かしい果物である
最近日本では殆ど見なくなってしまった果物だが、韓国や在日食堂街では、今でも人気の果物である。
あっさり甘い味は昔と変わらず、山で食べるには返って喉越しが良いのに驚いた程である。
昔、夏になると母親が、おやつとして良く食べさせてくれたものである。
寺からは頂上までは、平凡な道になっているが、頂上直下30分は、上を仰ぎ見る岩場歩きの急な登りになり、ひと踏ん張りが必要になる。
頂上には歩き始めてから4時間半ぐらいで到着、呆気なく着いてしまった。
岩場頂上はかなり広くなっているので、大勢の人が休憩や食事をしても心配がない。
頂上から次の目的地チャントモック待避所への道は、アップダウンを繰り返す縦走路となッて行く、立山ミクリガ池遊歩道見たいに、見事過ぎる程整備されていて、ワイルドファンには不満を感じるかもしれない。
ノコダン迄の4日間縦走路は、多分にこの様であると韓国人が説明してくれた。
確かに縦走路は迷う事は無いと思われる。
チャントモック待避所には昼を幾分回った頃に到着してしまったが、当初の計画通りに、ここに泊めてもらう事にして、宿泊の交渉に入った。
予約のない者は宿泊不可能が原則であるが、遠く日本から来たとお願いすると、山荘のお兄さんが、とても親切に場所を分けてくれた。
#(予約はインターネットでする人が多いとの事だった)
と言うのは寝るスペースには全て番号が打ってあり、予約番号でそのスペースが与えられるので、適当に出来ないのだ。
宿泊券には毛布券も付いていて、お金を払えば多めに毛布をもらえる。
中はとても清潔である。
泊まれる確信が出来たので、心は緊張が解け、山荘前広場で持って上がってきた酒を飲み、日向で寝てしまった。
寝ながら三々五々現れては、通過していく多くの登山者を眺めているのもソレはソレで面白い、人気ブランドや韓国と登山業界の傾向が手に取る様に解る、いつの間にか休暇モードが仕事モードに切り替わっているのであった。
宿泊者は山荘一階の調理スペースで自炊をする。
ここでは一切の食事サービスは無いので行かれる方は気を付けなくてはならない。
二日目は6時出発、次の目的地はソソク山荘、清々しい朝日を全身に浴び、心も軽やかな出発となった。
縦走路の木々は赤く染まり、とても気持ちがよい。
まだ早朝だというのに、反対側から高校生の200人を超す団体がドンドンと歩いてくる、多分学校行事であろう、引率の先生が声を枯らしている。
道は幾つもの細かなアップダウンを繰り返し、峰を越えていく、70分で・・峰という展望の素晴らしいところに着き、岩の上に登り振り返るとチリ山頂上青天峰が大きく肩を広げている。
眼下にはソソク山荘があり、この辺一体は高山植物保護地帯になっていて、有名な高山庭園である。
チリ山の写真もこの風景を撮った物が多い様に思える。
ソソク山荘はチャントモック山荘と大きさは同じぐらいのようだ
さて本日はここよりハンシン渓谷を下る事にする。
縦走路とハンシン渓谷への道は交差していて、はっきりと表示があるので全く道を間違う事は無い。
道は急角度で下っていく、全て岩道であるから膝腰を痛めない様にじっくりと歩く事にした。
 30分程下ると源流が見えて来だした。
この源流は次第に流れが出てきて、次第に沢となって行く、岩道はあちらこちらへ曲がり、赤テープを見落とすと、何処へ行ってしまうか解らないので、注意が必要だ、実際にも対岸に渡る様な所も多々あり、間違えたか?と緊張する場面が
何回か経験した。
落ち着いて見渡せば、何とか道を探せるのだが、その瞬間は”えらいこっちゃ”韓国の山で客死する訳にはイカンガ!と胸騒ぎする。
根が 焦り屋ビビリ屋で、相変わらずこの点はいつも反省する。
つまりこの道は登りに使う道の様で、途中から多くの登山者上がってきていた。私が源流にいた時間帯は人がおらず、又登り専用に使うので、ルートマークが上から見下ろす所には、付いていない様である。
何処の国でも沢は登り、下りは良い道と言う事であろうか?
2時間程下ると、沢は渓谷と成り、流れは大きく成ってきた。
深い谷、滝もあり、そうなると道はもう迷う心配はなくなる。
このあたりまで下ると、登りの登山者がドンドンと上がってくる。
谷間の岩の上では休息を取っている人もいる。
道の傾斜は緩く渓谷も大きくなって来だしたが、ここからが思ったより長く、何処まで歩いても渓谷歩きがズ~ト続く感じがした。
朝6時から歩いて、1時半 やっ~とゴールのペクムドン登山口に到着した。
なかなかに長い岩上歩きでだったので、
足がガタガタに成っていたし、急ぐ旅では無いから、このあたりの民泊で泊まる事に決めた。
清潔そうで親切そうな民泊を選んだ、と言うのは、そこの表で若い女将さんが食器を洗ったり、登山客に食事を出している姿がとても一生懸命であったからだ。
後から知ったのだが、この女性は遠く北朝鮮と接する中国領から嫁いで来た、朝鮮族中国人だ。
顔は明らかに朝鮮系顔ではなく、中国北方系の顔であった。
韓国の過疎地帯も日本同様に嫁の来手がないらしく、彼女の様な朝鮮族が嫁いできている様である。
子供さんを交え、夕食時にこんな話になったときは、結構考えさせられたのだった。
さて荷を解き、落ち着いた後は、宿の向かいにある縁台に上がり、待望のメクチュ(麦酒)を飲ませていただいた。
縁台からは美しい渓谷が見下ろせ、木陰から涼しい風がサラサラと渡ってくる。
ザ~ザ~という流れの音を聞いていると次第に眠気がし、いつの間にか寝てしまった。
寒くなって目が覚めたのは、5時を回っていただろう。
夜 山の神に無事下山を感謝し、床についた。

韓国の山 月出山に登る

漢字の故郷 霊岩月出山 
朝鮮半島南西部、全羅南道、木浦市郊外、月出山国立公園にある山で、韓国登山者の間でもベスト5に必ず選ぶ、岩稜歩きと深い谷間に架かる雲上吊り橋が有名な山である。
山中は鉄梯子、鎖が連続し、高度感も抜群、落ちれば100%天国行きの難所も有ので、我々日本人に取っては、一応中級者向けの山であると思う。
ソウルや釜山からは登山バスツアーも頻繁にあるぐらい人気の高い山である。
登山後は木浦港魚市場で、鯛、ヒラメ、活けタコ、刺身をこれでもか?と言うぐらいに満喫できるおまけ付きだ。
但し有料!
又山麓の霊岩郡は、歴史的にも大変重要な場所で、漢字を初めて日本に伝えた王仁博士の故郷であり、日本にとって言わば漢字のふるさとになる。
木浦市には日本統治時代(韓国では日帝時代と言う)の日式家屋が今も多く残り、旧市街を散策して、ノスタルジックに浸る旅も、別の意味でお勧めしたい。
山容)
標高は812m、ずばり岩の展示場の様な山 という表現がピッタリ来ると思う。
登山口から見上げたときは、この山どうやって登るのだろう?悩むぐらいの岩の固まりの山だ。
登山ルートはしっかりしている上、標識も完備しているので、迷う心配は全く無い!?
交通アクセス)
インチョン空港より、空路もしくは高速バスで木浦市に入り、月出山登山口までタクシーを使うのが便利だ
コースタイム)
ケシンリ登山口>50分>チョンハン寺分岐>30分>雲上吊り橋>40分>サジャ峰>60分>月出山頂上812m>豪雨のためあえなく下山路を取る>50分>パラン瀑布>30分>チョンハン寺分岐>40分ケシンリ登山口
☆天気が良ければ頂上より縦走路を歩きトガプ寺迄行く
以降は友人イルボンさんが歩いたコースタイムを参照とする
頂上>60分>クチョン峰738m>往復30分>麿崖如来座像>60分>パル峰ミウォンジェ分岐>70分>トガプ寺登山口
今回の旅程)
今回の山旅は韓国登山の師匠で友人イルボンさんの強いお勧めで、インチョンから高速バスとタクシーでケーシン里登山口迄直接入る計画を立てた。
兎に角朝鮮半島の南西の端で 霊岩郡に直接入る交通網が少なく、大変苦労して登山口に到着した。
朝6時に大阪の家を出て、ケーシン里でタクシーを降り、民泊前に立ったのが夕方6時 あれこれ乗り継いだ一日の行程を思い出し 心底上手いこと間違えないで着いたな~と 自分の行動に感心をした。
と言うのは、この日の行程を解説すると、関空~インチョン空港~光州市行高速バス~光州市バスターミナル乗り換え~路線バスで霊岩へ~霊岩郡でタクシー乗り換え~ケーシン里民泊だ。
特に思い出深いのは途中乗り換えた光州事件で有名な光州市外バスターミナルだ。
日本と異なり韓国は鉄道網より高速バス網が発達しており、バスターミナルの巨大さは想像を遙かに超している。
構造は言わば円形で建物の真ん中が切符売り場で、その外円周上に待合い場があり、その又外円周上に各方面への改札口があり、バスは放射状に発着をしていくのだ。
その乗り場の多さは100を超えると思われる。
韓国人は高速バスを乗り継いで国中を旅するのだ
従ってバスターミナルは交通渋滞を避ける為、市内にはなく、全て市外に有る。
その巨大バスターミナルは日本では絶対見られない光景なので、異国を旅している自分を強く意識出来る物であった。
さて泊まった民泊 これが本当にアットホームで、ウィークデイにて泊まり客が少ないと言うのもあるが、晩ご飯など食事は、そこの家族と一緒に取る。
あれこれおかずを摘んでいると、三々五々その友人が現れ、一緒に酒を飲み出す。
私は当然その中に巻き込まれてしまい、”日本人か?珍しいな~一人で来たのか?~、これ食べろや”酒飲むか~とか皆とても親切にしてくれる。
ただ酒は良いのだが、明日の山行の為にあれこれ今日の大変だった行程など事情を説明し、早々に部屋に退散した。
と言うのは韓国は儒教社会 目上の人への礼儀はとてもうるさいのだ。
黙って消え去る”なんて技は決してあり得ない。
勧められた酒を断るのは、かなり難しいのである。
その上 初老の人は植民地時代の経験で忘れたとは言え、日本語を少し喋れる。60年も日本語使っていない人がおられ、大変懐かしがってくれるので、退席するのがとても大変だった。
勿論翌日の晩は、ただ酒を鱈腹飲まし
てもらった。
今では 本当に良い思い出になっている。
さて 登山当日 目を覚ますと、それはそれはひどい土砂降りだった。
宿主人は”こんな日は登山せんと酒を飲むもんだ”と言うのだが、遠くから来た私はとてもそんな気になれず、とりあえず支度を済ませて出発した。
登山事務所に登録を済ませると、レスキューの人が、雨の日はとても危険だから、どうしても行くなら、くれぐれも気を付けて、そして下山後は必ず事務所に電話を入れなさいと、強く念を押された。
一応難所を確認させてもらい登山開始、山を見上げると、殆どが雲の中だ。
標識は見やすいが、兎に角無事に降りてこようと、山の神にお祈りをして登山を始めた。
雨の中、岩や石の上を慎重に歩き、道ジはグザグと高度を上げていく。
道の横は灌木であったと記憶している。チョンハン寺というお寺跡の分岐を左に取り、更に歩くと勾配が少しつつきつくなり、巨岩の間を縫うような道になっていく。
いよいよ臭いがしてきたな”と、ほくそ笑むと、雲上吊り橋こちら→の標識が見えてきた。
どんなんやろ~? 怖いんかな~?などと、もうワックワクだ。
すると目の前から突然道が無くなり、雲上橋が現れた。
深く切れ落ちた谷 眼下は雲が覆い尽くし何も見えない。
対岸は雲間に、何とか見える程度、時々雲の切れ間に霞んで、遠くにパラン瀑布がかいま見え、風向き次第で落水音が流れて来る。
多分晴天なら圧巻な景色なんだろうなと思う。
あれこれとアングルを替えて写真をとったあとで、滑って危ない足下を固め、よし!渡るぞ!一歩一歩毎に橋が揺れ、とてもスリリング、橋桁の間から見なくても良いのに、何故か真下を見る。
メチャ怖いな~と思いながら対岸にやっと到着、ほっと一息だ。
対岸展望台で展望?を堪能し体力を整えた後、更に天に一直線に伸びる鉄梯子に手を掛け、岩峰に上がっていくのだ。 
見上げると鉄梯子は雲の中に消えていっている。
角度は殆ど60度?、ビビッテいるので感じる角度は80度だ。
 レスキューさんの言っていた様にココが一番の難所だ。
雨でツルツル滑るので、更に緊張と恐怖が増す。
よせば良いのに下を見ると、梯子の下が無い!雲の中に消えているではないか!
エライコチャ!! もう上がるしか道は無し、腹が括れ、ココで客死せん事だけを祈って必死に登った。
ところが峰上に着くと拍子抜ける程、普通の登山道になり、思わずへたり込んでしまった。
暖かいポットのお茶を飲み、我に返ると掌が震えている。
かなりギュ~ッと握っていた様である
そこから道はトラバース気味に頂上へ向かっていく。
土砂降りでも全く平気な道だった。
メリハリの効いた山やな~ 心で呟いた
頂上直下、名所の岩トンネルをくぐると、広い頂上にポーンと到着した。
展望図には こっちはアレ あっちはアレと、色々な名所が打ってあるが、勿論なんにも見えるはずが無く、シャワーのような雨の中で、ご主人手製おにぎり弁当を口にねじ込んだ。
土砂降りでも寒さは感じられず、意外と頂上でゆっくり出来た。
この後の行動を、どうしようか?アレコレ迷ったが、何となく下山弱気モードにスイッチが入り、下山路を取る事にした。
下山路は谷筋をひたすら下る道である。
危ないところは木道に成っているので、全く心配はない。
暫く歩くとパラン瀑布(風の滝の意味)が姿を見せ、それはそれは見事な滝である。
おおきな花崗岩一枚岩を滑る様に、水が落ちてゆく。
ピッカピカの一枚岩だ。
ここからは単純な下りとなり、チョンハン寺分岐~ケーシンリ登山口に到着した。
レスキュー事務所アジョシに下山届けをすると、”良い判断だよ”と告げられた。
確かに心の中では、全行程をいけない敗退した気分もあり、何か後ろ髪が引かれる物で悶々としていた。
レスキューさんの言葉で、気分はすっきり精算されたのだ。
こうなったら一目散で、民宿へ戻って、昼から韓国ビール、焼酎で飲んだくれて、もっとスッキリするのだ~~。
でも翌朝起きると、やっぱり余りスッキリしていなかった。
個人旅だから、その日に又登れば良いと思われるであろうが、実はこの日、木浦市在住の女史が霊岩まで、わざわざ来てくれ昼食を一緒にすると云う約束をしていたのである。
この妙齢の女史は観光公社の人が、紹介してくれていて、旅行前から約束していたのだった。
”妙齢の女史”この響きで、私は気ままな個人旅に予定を入れてしまったのだ。
目の前には、行き切れていない月出山、しかしここには、鼻の下を伸ばした結果、山を背に去らなくてはならない私がいる。
おまけにこの日は天気が最高抜群。
一生の不覚!
”ああ~ ワシ駄目やなー”と 自業自得と かなりがっかりして登山口を去るのであった。
しかし しかし この妙齢の女史は妙齢+かなりの美人(韓国語でミイン)であり、霊岩トガプ寺で会った瞬間、中途半端登山の憂鬱は消し飛び、私は最高の選択であったと自画自賛をした。
その後数日は木浦市の名所など色々案内してもらい、二人で食事、お茶などと、大変ハッピーな山旅?を満喫させてもらった。
チョンチュン タシ ワッソッソ! 青春プレイバックだゼ!。
ウオチュル山万歳!マンセー カムサハムニダ~~。

韓国の山 水落山に登る

<ソウル水落山、スラクサン>
ソウルの北 北漢山のすぐ東に位置し、市内中心部から簡単に登れる とても便利で楽しい山である。
ソウルの山となると、まず北漢山、道峰山が有名で、多くの人はこれらの山を勧める。
その理由は見た目が、とても派手(ダイナミックな岩稜が露出し、とても難しそうに見える)からである。
今回お勧めする水落山は、見た目が余り派手でないと言う理由で、ソウルでは第三の山として認識されている
しかし頂上往復のコースなら、この水落山が一番であると思っております。
その理由は 難所>平坦>又難所、そのような状態が次から次へと連続して、変化に富み、気がつけば下山していた言うぐらい登山者を飽きさせない山であるからである。
では危険で、命がいくら有っても足りないかと言うと、実際は極めて危険ではなく、安全が十分確保されている危険に見える山?変な表現であるが、正しく感想を述べるとこの様になる。
兎に角大変にポピュラーな山である。
山容)
標高638m 遠くから見ると、白い岩肌が山頂部に見える程度で一見平凡であるが、能ある鷹は爪を隠すの、たとえの様に、外観からは登山道の面白さが解らない所が味噌だ。
途中からの、山頂部への岩場歩きの連続は、最高にスリリングで楽しい。
又下山途中からの渓谷美も、ソウルの山の中では、結構大きく、水量も豊富で渓谷遊山だけでも堪能できるほどお勧めだ。
山麓の渓谷沿いには韓国式川床食堂が軒を連ねているので、下山後の反省会も場所探しに心配は無い。
交通アクセス)
ソウルの中心地より約一時間、スラク山駅で下車、ここより直接登山開始が出来る。
山をぐるっと回って地下鉄マンウォル寺駅から乗車すると、夕方にはソウルの真中まで帰る事ができる。
行程、コース)
地下鉄スラク山駅>40分<森林公園入口>75分<分岐>40分<峠尾根>40分<頂上>20分<スラク山荘分岐>50分<渓谷合流点>30分<ソクリン寺>50分<地下鉄マンウォル寺駅
合計5時間45分 
山行内容)
9月初旬 大阪は34度と大変に暑く、早くソウルについて、涼しい空気を吸いたいと思っていた。
インチョン空港に着くと、期待を裏切らず24度ぐらいで、とても涼しい。
早速605番市内行バスに乗り、その日の宿泊先東大門運動場に到着、知人に会って、まず最初の用事を済ませた。
翌日の登山日は7時起床、日帰り登山故に簡単に登山用意を済ませ、宿の外に出ると 空は青く澄み渡っていた。
韓国の9月は、もう秋の気配が忍びより筋雲が刷毛で、はいたように空に浮かんでいる。
朝の気温は18度と長袖を着ないと、とても居ていられないぐらいである。
天気は快晴 抜群の登山日和である。
気を良くして地下鉄に乗り込むと、登山者と思われる人が大変大勢乗っている。
この路線には 白雲台、道峰山など有名な山が揃っているので、多くて当たり前であるが、列車が殆ど登山者で、ぎゅーぎゅー詰めで、ラッシュアワーのような状態だ。
時間がまだ7時半ぐらいであり、山の特性(余裕で日帰り)からして、今から12時ぐらいまで電車が登山客で、埋め尽くされる筈である。
小一時間走り、スラク山駅で下車する。
地上に出ると、バスで来た人も混じり、登山者が絶え間なく歩いているので、登山路を訪ねる必要が全くない。
後をついていけば良いのだ。
入山口森林公園迄は舗装道路であるが、両側には登山専門店が軒を連ね、路上には屋台が所狭しと登山口へと伸びている。
人気のある山だなーと感じる事が出来るのだが、その屋台 食べ物、飲み物だけではなく登山用品や登山服迄も売っている。
屋台型登山用品店を見るのは、初めての経験である。
私は早速昼食用にキンパプ(韓国風海苔巻き)を3本(一本170円程)とキュウリ3本セット、下山後用にメクチュ(麦酒)を買った。
しばらく歩き、汗ばむ頃に、道は渓流に合流して行きながら、本格的山道に成っていった。
渓流には川床居酒屋が店を構えている。
渓流は次第にちょっとした渓谷風に変化し、水量や谷の深さが迫力を増してくる。
郊外の山としては十分すぎる迫力だと言って良いだろう。
分岐点(安心尾根コースと岩稜ドキドキコース)にさしかかる頃には、もうすでに下山者の波が押し寄せてきている。
これは決してオーバーでなく本当に波の様にみえるのだ。
勿論私はドキドキコースを選択、分岐点からは急勾配になる。
道は渓谷から離れて尾根歩きになっていく。
岩道をホイホイと運びながら、20分ほど上げると、広く切り開いた場所に多くの人が集まって集会をしている様だ。
韓国人は、兎に角、集まるのが大好きだ。
話しを聞いていると、会社ハイキング、学校クラス会など多種多様な若者が山中
ミーティングをしてる様なのである。
でも装備は登山専用でしっかり決めていて、決して適当な普段着では集まっていない。
私の目はアメリカ漫画の如く、ジャーンとレジ状態に成ってしまった。
韓国アウトドア業界が羨ましく感じた。
もう一頑張りすると、峠に到着、ここは最初の展望地点でドボン区の街並みを見下ろすポイントになる。
風が良く通るナイスポイントで休憩するには最適である。
なんとアイスクリーム売りが下から、アイスクリームとドライアイス、特性耐熱ドラム缶を運び上げ、ココで行商をして居るではないか!
いくらタフガイでも片道2時間は掛かるはずだ。
そういえば、でかい荷物を持ったアジョシ(おニイさん)が登ったり下ったりしているのを見ていた。
この商売は人気があり、子供から大人まで大変よく売れている。
これだけの労力をかけても、売価は150円 絶対に安い。
サアー一休みの後、峠から頂上までのこの山の核心部へGO!だ
峠からは、核心部(ワイヤー付き岩稜急勾配ドキドキコース)と子供も歩ける安全木階段コース)に別れる。
勿論ドキドキコースだ
勾配は50度ぐらい、ピカピカ岩に2本の太いワイヤーが垂れ下がり、これを掴みながらドンドンと登っていくのだ。
途中で離せば、天国行きは確実。
50m~100m程毎に狭い休憩場が設けられ、休憩場で一息入れ乍ら一本又一本と上がっていくのだ
これが何本もあり、40分ぐらいシゴカレるのだから堪らない。
頂上に着く頃には腕が震えて、息はゼイゼイ、心臓バコバコ状態だ。
やっとこさ頂上に到着すると、これ又人だらけ、人だらけ、頂上へは4方向から登れるので、ソレは賑やかだ
危なそうな岩に登りヤッホーする人、写真取る人、食事する人、などと見ていても、とても楽しい。
頂上からの展望は360度遮る物全く無し、素晴らしいの一語だ。
道峰山、北漢山、ソウルの街並み、私は時間を忘れ、一時間は韓国人たちと一緒に、山頂を楽しませてもらった。
下山コースは北へ道を取り、スラク山荘横を通り西へ、ソクリン寺への渓谷へ抜けるコースを取った。
山荘周辺の平たい林の中は、昼食兼の山上大反省会集団で一杯だ。
いくら安全コースが有るとは言え、その飲みっぷり、食べっぷりはやはり我が国では考えられない光景である。
日本でこれをやると、大ヒンシュクだろうが、この国ではごく当たり前。
私はこの韓国登山スタイルの大らかさが、本当に好きで、性分に合っている。
この雰囲気に浸りたくて、韓国に行くと言っても、過言でないぐらいである。
安全コースは多少鎖場はあるが、危険箇所は階段が設けられていて、問題なく下山していく、50分程で渓谷と合流し、道は歩きやすく成り、緊張が取れて来る。
渓谷は、なかなかに深くて、真っ白い花崗岩が連続し、とてもソウル市に有るとは思えない程、美しいのである。
登山者は靴を脱いだり、渓流に足を浸したり、岩の上で日光浴したりして、ノンビリとやっている。
歩行速度は早く、休憩が長いのも韓国スタイルと言って良いだろう。
流れが緩やかになるソクリン寺からは、川床居酒屋街が、軒を連ね、どの店も反省会二次会で、大層賑わっている
国道を渡り、田んぼ中を暫く歩くと、地下鉄マンウォ寺駅に着く、
ホームのイスにゆっくりと腰をかけ、今日の一日を振り返った。
振り返ると、後ろに水落山、正面には道峰山の白い巨大岩壁が夕日でオレンジ色に輝き、とても美しい。
帰路、車窓から見る夕焼けの山々はビールの味を更に旨くしてくれた。

韓国の山 内蔵山に登る

<紅葉名所の内蔵山、古刹巡りと全州ビビンバ >
韓国語ではネジャン山と発音し、内蔵山国立公園を代表する山です。
全羅北道ジョンウプ市郊外に有り、朝鮮半島南部に位置しております。
兎に角、紅葉でとても有名な名所です。
韓国人に紅葉と言うと、枕詞の様にネジャン山を連想します。
それ故10月~11月にかけては、紅葉狩り一般観光客、ハイカー、登山者が韓国中から訪れる(押し寄せる)ので、私の知人ネジャン山観光案内所で勤めている片平女史は、秋にはネジャン山へ来ない方が良いと忠告するぐらい激しい賑わいのようです。
でも紅葉写真を見ると、白く光る花崗岩絶壁の山麓が、紅葉で一面に覆われた上に、ふすま絵の様に横方向に広がっていて、韓国随一の紅葉名所と言って良いと思います。
山容は)
馬蹄形のような形をした山で、中に古刹内蔵寺を抱え、寺を包み込むように、ぐるり一面を峰峰が、まるで鶴が羽を広げた鶴翼の様に取り囲んでいます。
全部で八つの峰で構成されていて、一番高い所がネジャン山、標高は763mと大した高さはありません。
しかし内蔵寺から見上げる白亜の大屏風岸壁や、上から見下ろすに峰峰に包み込まれた内蔵寺の塔頭、この風景は天下無比、これぞ国立公園の由縁たる物を感じざるを得ません。
全ての峰を回峰するには、峰から峰へのアップダウンは大きく、谷に架かった鉄梯子、鎖を頼りに何度も上がり下がりするので、簡単では無い山行になります。
健脚者でも当然丸一日かかる事は言うまでもありません。
内蔵山回峰は登山と言うよりは、宗教色の濃い日本で言う行に近いと思います。
交通アクセス)
高速バス利用:インチョン空港より全州市迄直行バス>ジョンウプ市行きへ乗り換え>内蔵山へ
鉄道利用:ソウル龍山駅より新幹線KTXでジョンウプ市迄
ジョンウプ市から内蔵山迄は頻繁にバスがあります。
行程、コース)
イルチュ門登山口>80分<ソレ峰624m>75分<仏出峰>50分<マンヘ峰>60分<カチ峰>60分<内蔵山シンソン峰763m>30分<ヨンジ峰>100分<チャングン峰経由ユグンチ>40分<トンクリ登山口終点 
★本来は一周でこれだけかかるのですが、私はノンビリ歩きたかったので、二日に分けて登らせてもらいました。
行程まとめ)
その日全州市外バスターミナルにバスを乗り継いで、ようやくたどり着いたのが昼前に成ってました。
ここでは内蔵山に行く前に、是非とも有名な全州伝統家屋街を訪ねようと、前々から思っていたので、悩まず市内ミニツアーに出かけました。
全州市は李朝朝鮮建国者、イ、ソンゲの出身地です。
屋根軒先が上に反り上がっている朝鮮式の建物が軒を連ね、路地が石畳で、でこぼこ、あちこちにうねりながら伸びていきます。
家屋はオンドル部屋になっており、オンドル暖房用の煙突が着いています。
李朝朝鮮時代にタイムスリップした錯覚を覚えるぐらいです
20年前に江原道安東市にある有名なハフェマウル(伝統家屋世界遺産)に行きましたが、同じぐらいにインパクトのある光景でした。
この日内蔵山に入らないなら、一泊ぐらい伝統家屋で泊まってみたいと後ろ髪がひかれる思いでした。
内蔵山は一大観光地らしく、想像していたよりは遙かに開けていて、民宿、モーテル、食堂、土産物屋が沢山あり、私が訪れたのは、9月オフシーズンでもあったので宿探しも、簡単でありました。
到着早々全州に来たので、いの一番に全州ビビンバ専門店に飛び込みました。
これは日本では石焼きビビンバなどと言い、熱い石鍋でビビンバを焼いている物です。
本場の味は?正しく濃厚、ごま油がたっぷり効いていて、とても辛い、それと野菜が多いのが特徴です。
石ウスは平たく大きめで、お焦げが多めになっています。
一言 うま~~い!!
CASSビールと相まって、幸せな夕食を楽しみました。
次の日山歩きの為内蔵寺観光センターからシャトルバスに15分程乗って、 内臓寺迄まず参ります。
寺は山麓に有り、自然が豊かなとても素敵な所です。
実はその朝 観光案内所に情報を仕入れに行くと、そこに仙台市からジョンウプに嫁いできている片平女史という方が働いておられ、話が弾み過ぎて午前中をつぶしてしまいました。
なにせこの片平さん韓国語をマスターする為にソウルで住み、結婚した相手がたまたまジョンウプの市民であったのです。
日本人が来るから観光案内所で働いているわけでは無く、殆ど日本人は来ない様で、他人と日本語を喋るのは、2年ぶりとの事でした。
従ってそれはそれは話が盛り上がりました。
所で肝心の山 この日はまず門前にある観光ケーブルカーで中腹駅迄登り、終点駅より最高峰シンソン峰に行く事にしました。
終点駅には観光客用内臓山展望台があり、内臓山の白亜の岸壁群が一望できます。
山道は綺麗に整備され、ヨンジャ峰迄急角度に上がっていきます。
この峰からの展望は更に良くなり、馬蹄形の七峰が一望できるようになります。
更に登るとシンソン峰最高峰になります。
紅葉の時はモミジの赤と白い岸壁のコントラストが一枚の屏風絵に成るのでしょう。
確かに素晴らしい風景で有るのは想像するに難くありません
こちらの登山道は人気が有るようで、木道階段など整備し過ぎなぐらいに成っていまして、極めて安全になっています。
子供を連れた多くの家族ハイカー達がスニーカーで登って来ています。
頂上は狭く、10人ぐらいでいっぱいに成ります。
もうそれは賑やかで、アイグー、キブニチョアー(ああ~気分良いな~)などと大声であれだこれだと大盛り上がりです。私は居場所が無くなり、早々に切り上げ、尾根道をカチ峰迄歩き、そこより下りました。
この山の便利な所は、いつでもあらゆる峰から下る事が出来ます。
エスケープルートだらけ、余り予定を考えないで適当に歩けるのです。
この日は名刹内蔵寺へも参拝しました。
新羅時代創建、とても有名なお寺だそうです。
お寺の甍と紅葉した岸壁群は、つとに有名で、インチョン空港ロビーや通路などに、韓国を代表する景色として紹介されています。
帰りは山門からホテル群があるセンター迄シャトルバス専用道を歩きました。
川沿いの気持ちが良い道、街路樹は全てモミジ、秋には道も全てモミジで真っ赤に成ります。
その晩も全州ビビンバを又食べました。
翌日は、早起きをして、半時計回りをしました。
昨日と反対回りです。
こちらの方は圧倒的に、人が少なく登山者向きのコースになっています。
イルチュ門から急登すると、ソレ峰に飛び出ます。
こちらの方からは、馬蹄形の外側の景色が展望できまして、登山道も鉄梯子や深めの谷、激しいアップダウンなど一般ハイカーにはお勧めしにくい難所が連続します。
仏出峰下には高麗時代に彫られた仏出洞窟石仏群が有りますが、朝鮮戦争時、北朝鮮軍が侵攻し、顔をそぎ落としています。
何処の国へ行っても、内乱があったりすると、この手の文化財が傷つけられるのですね。
とても痛々しい仏さんのお姿でした。
更に細い尾根をたどると新たな峰に出ます。
ここからのお勧めは馬蹄形峰群の一番奥から、鶴の羽を広げた様な鶴翼陣風岩峰を一望できる上、その中心部に鎮座する内蔵寺を展望できるという所です。
箱庭的風景ですが、その凝縮された風景がとても魅力的であると思います。
エスケープルートを取り、渓流沿いに歩くと又又内蔵寺にでます。
この山は何処から降りてもお寺に出るように成っているのです。
お寺に無事山行終了のお礼を告げ、その夜はジョンウプ駅前に宿を取り、最後の全州ビビンバを食べました。
周りは畑だらけの田舎ですが、内蔵山故に新幹線KTXが泊まる駅になっています。
今夜が今回韓国山旅の最後の夜、駅前のベンチで韓国焼酎を呑み、ハングル文字ネオンを見ていると、色々な事があったな~、明日は帰国せんとあかんのか”など、寂しい感情がこみ上げてきました。

アドバイス)内蔵山観光センター付近の宿は観光地お忍び旅用のモーテル群などで清貧成る我々登山者向きでは有りません。
宿泊はジョンウプ駅前のモーテル(一般者もまだ使える)がお勧めです。
食べ物屋も一般者向けで安い。
ジョンウプなどの地方都市はビジネスホテルが全くなくモーテルしかないのです。
これは全ての機能が、ソウルと釜山に集中している理由と思われます。

韓国の山 白雲台に登る。

<ソウル 白雲台 >
私が20年前に 韓国で始めて登った山ですが、大阪で在日の方が多く住まわれる生野や東成には 白雲台という名の焼き肉屋、韓国食堂が多くあります。
自店の屋号にする程 素晴らしい山で、韓国では象徴的な山であります。
韓国の山でベスト3に入る人気のある山でしょう。
ソウル北漢山にある一つの峰でありますが、街から望む 一際目立つその素晴らしい勇姿は、見る者をこの山に誘うには十分な迫力を有しています。
山容は)
高さ何百メーターという砲弾型の巨岩の峰で、その存在はどんな遠くからでも見ることが出来ます。
一度見たら たいがいの人は、その存在感に圧倒され、登りたくなります。
私も始めてソウルに行き、タクシーの窓から見たときは、あ!!あれは何であろう?!と思ったほどです。
それ以来 出張の都度出来る限り時間を取り色々なコースから行くようになりましたが、今では何回登ったか もう数えることは無理です。
それ程魅力があります。
コースは多彩、凄く多くのルートがあり、初心者向き、超ハイグレードクライミング者向きなど技術や指向に合わせて色々なコースを選べます。
交通アクセス)
登山口によって異なりますが、基本的に都心部 ソウル市庁駅からおおむね一時間で、登山口まで着くことが出来ます。
従って 思い立ったらすぐに行く事が出来る大阪生駒山ぐらいに、とてもとっても便利な山なのです。
便利すぎるかもしれませんが、実はソウルには北漢山国立公園があり、白雲台はその一部の峰なのです。
行程、コース)
コースは無数にありますが、今日は一番ポピュラーなコースを紹介させてもらいます。
ウイドンコース 
地下鉄でソウル北の外れスユ駅で降り、タクシーを捕まえ、ウイドンバスターミナル迄行ってくれ!と言えばOKです。
タクシーは約15分ぐらいです。
勿論駅前から路線バスが頻繁にありますが、日本人にはどのバスが何処へ行くのか?探し当てるのがとても難しいのです。
ウイドンバスターミナル到着してから、入山口迄はドソン寺行きへの乗り合い無料バスを使えば楽です。
乗り合いバス降りたところが、入山口ですので、ここで入山料を払い入山、林間の気持ちの良いなだらか~な登りを50分 その間休憩所、お寺、渓流など通り過ぎると、峠に出ます。
ここに来ると白雲台横に立つ、インス峰の巨岩峰が目前に現れます。
その迫力、その存在感は圧倒的 唖然として見上げるでしょう。
ココが最初のポイント、記念写真を撮り しばらくは景色を楽しんで下さい。
道を左に取り インス峰の左を巻き着くと、今までの低山歩き風の道がアルパイン風に一変します。
巨岩に付いた足場に、足をねじ込んで、取り付いて登ります。
ワイヤー 鉄階段 足場を便りに高度を稼いでいきます。
岩が抉られた足場は無数の人が歩いた事を証明しています。
こう聞くと滅茶苦茶危険そうに聞こえますが、雨の日以外は全く安全に登ることが出来るので、心配はご無用です
もう当たりは岩又岩 覆い被さるような岩を見物しながら40分 最後急斜面を上がると山荘(休憩用)が現れます。
山荘は綺麗に整備され、前に机や椅子が有り 皆ココで小休憩 弁当広げたり お茶呑んだり 木漏れ日の下で気持ちの良い時間を過ごせます。
当たりはキツツキ、リスも多く 食事をしていると リスが遊びに来たりして韓国らしい風景を満喫できます。
登山者の一部は、ココで濁酒を呑むようです。
私も友人に無理矢理(ほんと!)勧められて、何回か呑んでますが、結構呑んでも余り酔うという感じがないので、そんなに神経質になることはないのです。
日本ではこんな岩山で酒を飲む事は、まずしません。
文化の違いを感じる事ができます。
でも酔いすぎると 歩かないで、もうココが今日の最高地点になるのです。
おおらかで良いでしょう?
わたしもこの適当なところが大好きです。
サー出発!! もう30分ほど岩場を頑張ると 城門に到着します。
ココは反対側プッカンドンへの峠になっています。
韓国の城は日本のような平野の城ではなく、山城になります。
解りやすく言えば万里の長城のミニ版 見た目は万里の長城と殆ど同じです
やはり地続きの大陸文化は同じなのだと痛感します
元は北からの外敵侵略から漢城を守る目的で作られた物です。
韓国には日本式の城郭跡城壁が朝鮮半島南部 慶尚道ウルサンの辺にあります。
慶長文禄の役の折り 侵略した秀吉軍が作った城壁です。
私は行ったことがないのですが、一度訪れて見たい所でもあります。
この城門から上が白雲台登山の核心部 クライマックスを飾るにふさわしいスリリングで、高度感抜群の岩場歩きです。文字通り頂上へ急勾配一直線です。
ワイヤーを握り、溝に靴を突っ込み グイグイ上がります。
降りる人昇る人 お互いに譲り合いながら登ります。
強者はワイヤーに頼らず フリーハンドで45度を超える岩場をスイスイを上がります。
見ている方の怖いこと怖くないこと、ドキドキします。
昔友人と上がったとき トラブルがこれでないのかと聞くと 度々あるらしいとのこと、、、 山岳レスキューはフリーハンド登山を禁止しているのだが、気力の強い韓国登山者はあまり言う事を聞かないらしいのです。
私も理解出来ます 恐がり人間 慎重人間は、この国では市民権が薄いのです。
危ないことを平然とやってのけて 始めて男と認められるようです。
この国では女性登山者もガシガシとフリーハンドしてます。
私も10年近く前一度やりましたが、落ちれば100%天国行き 恐がりの私はそれ以来は遠慮する事にしました。
目を横にやると 世界でも有名なインス峰が間近に見ることが出来ます
世界のロッククライマー垂涎の岩場で、
いつもザイルが垂れ下がり トレッカーの目を楽しませてくれます
城門から30分で 頂上です
30人は可能な広め?の頂上に 韓国国旗が、はためいています。
ここからは360度の大展望 ソウル郊外等が一望できます。
真下にある巨岩峰 蟻の戸渡りのような危険なコースなど 手に取るように見ることが出来ます。
大いに盛り上がり 少し下の広い岩場で昼食を楽しむのがお勧めです。
下りは城門まで来た道を返します。
ココでは上り優先などではなく 兎に角互いに譲り合うのです。
城門からは南の方へ道を取り トラバース気味のコースとなり、これも岩歩きの連続 危なくはないのですが ゴツゴツした岩場歩きなので 足腰が結構疲れるのは事実です。
城門より50分このトラバースを続けると ヨンアン門に到着、ココにも楼閣があり コースのポイントになっています。
コースは城壁沿いにドンドンと続きますが 本日は足腰も疲れたので ココで下山ルートを取ります。
道はのんびりとしたコースで木立の中をホイホイと歩くことが出来、50分でお寺の屋根が見えてきます。
この頃には 結構足膝がガタガタ 日本人がいかに岩場のロングコースに慣れていないか解る頃です。
ドソン寺は 兎に角有名で お堂にはパクチョンヒ大統領 チョンドハン大統領の額があり 権力者の大きな庇護があった事が忍ばれます。
今も毎日多くの参拝者が訪れ 受験シーズンなどは、もの凄い人が参拝されるそうです。
日本と全く違う鮮やかなお寺の色、信者さんの熱心なお参り風景(床に額をこすりつけ、又立ち上がる方法、これを延々と繰り返します)
寺より少し下ると入山口に戻り、登山終了です。
さあ売店でメクチュ(ビール)で喉を潤しましょう。
無料シャトルバスも有りますが、帰りはバス道を歩くのをお勧めします。
何故なら、ここからが韓国登山スタイルの総仕上げ 反省会居酒屋通りへ乗り込むからです。
海苔巻き、ソルロンタン屋、鶏肉屋など好きな所へ行くのです。
飲みっぷり、食べっぷりを見ていると、ココは韓国だと実感できます。
行程まとめ)入山口>50分>峠>40分>山荘>30分>城門>30分>頂上>20分>城門>50分>ヨンアン城門>50分>ドソン寺入山口>50分>ウイドンバスターミナル 総合計タイム5時間20分

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