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韓国の山 月出山に登る

漢字の故郷 霊岩月出山 
朝鮮半島南西部、全羅南道、木浦市郊外、月出山国立公園にある山で、韓国登山者の間でもベスト5に必ず選ぶ、岩稜歩きと深い谷間に架かる雲上吊り橋が有名な山である。
山中は鉄梯子、鎖が連続し、高度感も抜群、落ちれば100%天国行きの難所も有ので、我々日本人に取っては、一応中級者向けの山であると思う。
ソウルや釜山からは登山バスツアーも頻繁にあるぐらい人気の高い山である。
登山後は木浦港魚市場で、鯛、ヒラメ、活けタコ、刺身をこれでもか?と言うぐらいに満喫できるおまけ付きだ。
但し有料!
又山麓の霊岩郡は、歴史的にも大変重要な場所で、漢字を初めて日本に伝えた王仁博士の故郷であり、日本にとって言わば漢字のふるさとになる。
木浦市には日本統治時代(韓国では日帝時代と言う)の日式家屋が今も多く残り、旧市街を散策して、ノスタルジックに浸る旅も、別の意味でお勧めしたい。
山容)
標高は812m、ずばり岩の展示場の様な山 という表現がピッタリ来ると思う。
登山口から見上げたときは、この山どうやって登るのだろう?悩むぐらいの岩の固まりの山だ。
登山ルートはしっかりしている上、標識も完備しているので、迷う心配は全く無い!?
交通アクセス)
インチョン空港より、空路もしくは高速バスで木浦市に入り、月出山登山口までタクシーを使うのが便利だ
コースタイム)
ケシンリ登山口>50分>チョンハン寺分岐>30分>雲上吊り橋>40分>サジャ峰>60分>月出山頂上812m>豪雨のためあえなく下山路を取る>50分>パラン瀑布>30分>チョンハン寺分岐>40分ケシンリ登山口
☆天気が良ければ頂上より縦走路を歩きトガプ寺迄行く
以降は友人イルボンさんが歩いたコースタイムを参照とする
頂上>60分>クチョン峰738m>往復30分>麿崖如来座像>60分>パル峰ミウォンジェ分岐>70分>トガプ寺登山口
今回の旅程)
今回の山旅は韓国登山の師匠で友人イルボンさんの強いお勧めで、インチョンから高速バスとタクシーでケーシン里登山口迄直接入る計画を立てた。
兎に角朝鮮半島の南西の端で 霊岩郡に直接入る交通網が少なく、大変苦労して登山口に到着した。
朝6時に大阪の家を出て、ケーシン里でタクシーを降り、民泊前に立ったのが夕方6時 あれこれ乗り継いだ一日の行程を思い出し 心底上手いこと間違えないで着いたな~と 自分の行動に感心をした。
と言うのは、この日の行程を解説すると、関空~インチョン空港~光州市行高速バス~光州市バスターミナル乗り換え~路線バスで霊岩へ~霊岩郡でタクシー乗り換え~ケーシン里民泊だ。
特に思い出深いのは途中乗り換えた光州事件で有名な光州市外バスターミナルだ。
日本と異なり韓国は鉄道網より高速バス網が発達しており、バスターミナルの巨大さは想像を遙かに超している。
構造は言わば円形で建物の真ん中が切符売り場で、その外円周上に待合い場があり、その又外円周上に各方面への改札口があり、バスは放射状に発着をしていくのだ。
その乗り場の多さは100を超えると思われる。
韓国人は高速バスを乗り継いで国中を旅するのだ
従ってバスターミナルは交通渋滞を避ける為、市内にはなく、全て市外に有る。
その巨大バスターミナルは日本では絶対見られない光景なので、異国を旅している自分を強く意識出来る物であった。
さて泊まった民泊 これが本当にアットホームで、ウィークデイにて泊まり客が少ないと言うのもあるが、晩ご飯など食事は、そこの家族と一緒に取る。
あれこれおかずを摘んでいると、三々五々その友人が現れ、一緒に酒を飲み出す。
私は当然その中に巻き込まれてしまい、”日本人か?珍しいな~一人で来たのか?~、これ食べろや”酒飲むか~とか皆とても親切にしてくれる。
ただ酒は良いのだが、明日の山行の為にあれこれ今日の大変だった行程など事情を説明し、早々に部屋に退散した。
と言うのは韓国は儒教社会 目上の人への礼儀はとてもうるさいのだ。
黙って消え去る”なんて技は決してあり得ない。
勧められた酒を断るのは、かなり難しいのである。
その上 初老の人は植民地時代の経験で忘れたとは言え、日本語を少し喋れる。60年も日本語使っていない人がおられ、大変懐かしがってくれるので、退席するのがとても大変だった。
勿論翌日の晩は、ただ酒を鱈腹飲まし
てもらった。
今では 本当に良い思い出になっている。
さて 登山当日 目を覚ますと、それはそれはひどい土砂降りだった。
宿主人は”こんな日は登山せんと酒を飲むもんだ”と言うのだが、遠くから来た私はとてもそんな気になれず、とりあえず支度を済ませて出発した。
登山事務所に登録を済ませると、レスキューの人が、雨の日はとても危険だから、どうしても行くなら、くれぐれも気を付けて、そして下山後は必ず事務所に電話を入れなさいと、強く念を押された。
一応難所を確認させてもらい登山開始、山を見上げると、殆どが雲の中だ。
標識は見やすいが、兎に角無事に降りてこようと、山の神にお祈りをして登山を始めた。
雨の中、岩や石の上を慎重に歩き、道ジはグザグと高度を上げていく。
道の横は灌木であったと記憶している。チョンハン寺というお寺跡の分岐を左に取り、更に歩くと勾配が少しつつきつくなり、巨岩の間を縫うような道になっていく。
いよいよ臭いがしてきたな”と、ほくそ笑むと、雲上吊り橋こちら→の標識が見えてきた。
どんなんやろ~? 怖いんかな~?などと、もうワックワクだ。
すると目の前から突然道が無くなり、雲上橋が現れた。
深く切れ落ちた谷 眼下は雲が覆い尽くし何も見えない。
対岸は雲間に、何とか見える程度、時々雲の切れ間に霞んで、遠くにパラン瀑布がかいま見え、風向き次第で落水音が流れて来る。
多分晴天なら圧巻な景色なんだろうなと思う。
あれこれとアングルを替えて写真をとったあとで、滑って危ない足下を固め、よし!渡るぞ!一歩一歩毎に橋が揺れ、とてもスリリング、橋桁の間から見なくても良いのに、何故か真下を見る。
メチャ怖いな~と思いながら対岸にやっと到着、ほっと一息だ。
対岸展望台で展望?を堪能し体力を整えた後、更に天に一直線に伸びる鉄梯子に手を掛け、岩峰に上がっていくのだ。 
見上げると鉄梯子は雲の中に消えていっている。
角度は殆ど60度?、ビビッテいるので感じる角度は80度だ。
 レスキューさんの言っていた様にココが一番の難所だ。
雨でツルツル滑るので、更に緊張と恐怖が増す。
よせば良いのに下を見ると、梯子の下が無い!雲の中に消えているではないか!
エライコチャ!! もう上がるしか道は無し、腹が括れ、ココで客死せん事だけを祈って必死に登った。
ところが峰上に着くと拍子抜ける程、普通の登山道になり、思わずへたり込んでしまった。
暖かいポットのお茶を飲み、我に返ると掌が震えている。
かなりギュ~ッと握っていた様である
そこから道はトラバース気味に頂上へ向かっていく。
土砂降りでも全く平気な道だった。
メリハリの効いた山やな~ 心で呟いた
頂上直下、名所の岩トンネルをくぐると、広い頂上にポーンと到着した。
展望図には こっちはアレ あっちはアレと、色々な名所が打ってあるが、勿論なんにも見えるはずが無く、シャワーのような雨の中で、ご主人手製おにぎり弁当を口にねじ込んだ。
土砂降りでも寒さは感じられず、意外と頂上でゆっくり出来た。
この後の行動を、どうしようか?アレコレ迷ったが、何となく下山弱気モードにスイッチが入り、下山路を取る事にした。
下山路は谷筋をひたすら下る道である。
危ないところは木道に成っているので、全く心配はない。
暫く歩くとパラン瀑布(風の滝の意味)が姿を見せ、それはそれは見事な滝である。
おおきな花崗岩一枚岩を滑る様に、水が落ちてゆく。
ピッカピカの一枚岩だ。
ここからは単純な下りとなり、チョンハン寺分岐~ケーシンリ登山口に到着した。
レスキュー事務所アジョシに下山届けをすると、”良い判断だよ”と告げられた。
確かに心の中では、全行程をいけない敗退した気分もあり、何か後ろ髪が引かれる物で悶々としていた。
レスキューさんの言葉で、気分はすっきり精算されたのだ。
こうなったら一目散で、民宿へ戻って、昼から韓国ビール、焼酎で飲んだくれて、もっとスッキリするのだ~~。
でも翌朝起きると、やっぱり余りスッキリしていなかった。
個人旅だから、その日に又登れば良いと思われるであろうが、実はこの日、木浦市在住の女史が霊岩まで、わざわざ来てくれ昼食を一緒にすると云う約束をしていたのである。
この妙齢の女史は観光公社の人が、紹介してくれていて、旅行前から約束していたのだった。
”妙齢の女史”この響きで、私は気ままな個人旅に予定を入れてしまったのだ。
目の前には、行き切れていない月出山、しかしここには、鼻の下を伸ばした結果、山を背に去らなくてはならない私がいる。
おまけにこの日は天気が最高抜群。
一生の不覚!
”ああ~ ワシ駄目やなー”と 自業自得と かなりがっかりして登山口を去るのであった。
しかし しかし この妙齢の女史は妙齢+かなりの美人(韓国語でミイン)であり、霊岩トガプ寺で会った瞬間、中途半端登山の憂鬱は消し飛び、私は最高の選択であったと自画自賛をした。
その後数日は木浦市の名所など色々案内してもらい、二人で食事、お茶などと、大変ハッピーな山旅?を満喫させてもらった。
チョンチュン タシ ワッソッソ! 青春プレイバックだゼ!。
ウオチュル山万歳!マンセー カムサハムニダ~~。

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