登山靴のサイズ合わせ

登山靴のサイズ合わせは非常に難しいです。登山の専門のお店でも個々のお店の合わせ方が有り、勧め方があります。またお客様の靴を履いた時の感じ方も千差万別です。今回は、ヨシミスポーツの基本になる「サイズ合わせの方法」や「ひもの締め方」「チェックの方法」などをご紹介します。※ご来店頂いたお客様には、この方法に合わせ、「どいう目的の登山なのか?」「経験値や使用回数?」「今後どういう登山をしたいのか?」等々、足の計測だけでは分からない情報をお伺いし、ベストな1足を決定していきます!この数字で分からない情報が実は一番大事です!

①足のサイズをチェックします

靴下を履いた状態(登山をする時の厚み)で計測します。普段履いている靴下があればご持参して頂くと助かります。無い方は店頭に試着サンプルのご用意があります。靴下を履いたら、計測板に必ず両足で立って計ります。左右の大きさが違う方もいます。また立つことで、体重が乗り足の形が変化します。足は平面ではなく、立体なので長さだけでは無く、ボリューム感や骨の出かたも確認致します。場合により足を直接触り、見させて頂いています。

靴下のうんちく・・・「靴下は2枚ばきだ!」この言葉、聞いた事ありますよね?この言葉が生まれたのには理由があります。その昔、登山靴が片足1キロ以上もあった時代、重くて硬くて足に馴染まない登山靴から、足を守る為に靴下を2枚履いた。と言うのが始まりらしいです。しかし今の登山靴は、革でも柔らかく軽い、そしてソールのクッションも効いている。さらに中敷きも入っている。(大昔は入っていなかった)今の登山靴は靴下は1枚で履くように設計されています。

※5本指ソックスを履く方やどうしても2枚履きたいと言う方はサイズ合わせの前にご相談下さい。

②足を入れ前後・横幅のサイズチェックをします

<前後のチェック>登山靴に足を入れ、紐を締めてない状態で足先を前に送り、踵に指が1本入るかをチェックします。この時に前に送った指先が曲がっていてはダメ!指は伸びた状態で!踵に指が1本入る余裕が無いと下りの時に爪が剥がれたり、内出血で爪が黒くなる危険があります。余裕があれば、今度は足を踵に合わせます。そうすると爪の先に余裕が出来ます。

<横幅のチェック>足を踵に合わせた状態で、横幅の当たり具合を確認します。圧迫が無いか?指が重なっていないか?前後サイズのチェックと違い感覚になりますので、気になる方は前後サイズと比較しましょう。前後サイズが問題なくても横幅がしんどければ、1サイズ上や別のモデルを試す必要があります。

指1本のうんちく・・・「踵に指1本!」この合わせ方は、登山の専門店や登山雑誌などで良く見かけるので、かなり一般的に広まっています。しかしこの指1本の感覚が難しい!「無理やり1本」なのか?「かるく1本」なのか?2択で行けば「かるく1本」です。グリグリねじ込んで無理やり1本は余裕が無さすぎです。指が入らない靴は論外です。足の横幅がある方は、1本半ぐらいで合わすことも有ります。

③靴紐を締めます

足を踵に合わせた状態で、紐を締めます。紐靴の良い所は、足の状態により緩めたり締めたりできる所ですが、新しい登山靴を選ぶ時は、まずしっかり紐を締めましょう!締めた状態でないとその靴本来のフィット感や履き心地は分りません。

kutuawa05.jpg

靴紐のうんちく・・・「上りはゆるく!下りはきつく!」これは足首部分のひもの締め方を指します。下りはきつく!これは正解です。下りで足首の紐をきつく締めないと、靴の中で足が前に動き、横幅が痛くなり爪が真っ黒になります。上りはゆるく!は、あまりお勧めしません!足首の紐をきつく締めて上ると足首が痛い!だから締めない!と言う方がいますが、下記の画像の様に足が前に倒れやすくなり踵が浮きます。踵の浮き沈みにより摩擦が起こり靴擦れが出来ます。特にソールの硬い登山靴で起こりやすい。したがって緩め過ぎは駄目です!締めて足首が痛いなら、少し歩幅を狭くして歩いて下さい。

④傾斜台・階段・店内を歩いて履き心地をチェックします

店内を歩き回り、履き心地をチェックします。下りの傾斜台で靴の中で足がズレて爪があたらないか?横向きの下りで、横ズレが気にならないか?階段や平坦な場所で踵の浮きやあたりがないか?違和感がないか?当然1足だけ試着しただけでは、その感覚が良いのか?悪いのか?の判断がしにくいので、同じモデルの前後サイズや、違うブランドの靴を試着し比較する事は良いことです。

その他、登山靴選びで気を付けたいポイント

☆自分の足サイズをショップで計ってもらって下さい。
意外と自分の思っているサイズと違う事が多いです。普段履いている靴のサイズは登山靴には当てはまりません。サイズ計測はアナログ風の方が良いです。店によっては機械で計ろうとしますが、目で見てもらい触診してもら店の方が信頼が置けます。

☆靴の表示サイズはあくまで目安です。
例えば26cmと書いているサイズでもブランドによって全く履いた感じが異なり、又同じブランドでもアイテムやジャンルによっては、全くサイズ感が異なります。表示サイズに惑わされず、必ずお足を入れてサイズ感を確認して下さい。特に登山靴はヨーロッパのべランドが多くセンチ表記で無い物が多いです。

☆楽だから!と大きすぎる靴を選ぶと足さばきが悪くて歩きにくい。
幅広すぎる靴や楽な靴は、店内などの平坦な場所では楽でよいですが、実際山へ行き、木の根や岩の上、足の置き場が悪い場所では、靴の中で足がズレて動きとても不安定で歩き辛いです。その上足さばきが悪いので、疲れて難所などでは危ないことも多くなります。

☆夕方が一番、足がむくむから、靴選びは夕方が良い!は100%では無い。
一般的には朝方が一番足がむくんでいます。事務職でずっと座っている人や、ずっと立ったままの人は夕方が浮腫みますが、一般的には歩いたり行動するとふくらはぎのミルキング動作で血流が良くなりそれほどむくんだりはしません。

3E・4Eの「E」の誤解について
お客様の声で「私は4Eだ!幅広の足だから4Eの靴を下さい」と言うのが良くあります。実は「E」は単なる足幅ではありません。「E」は足囲いと言い親指と小指の円周サイズを言います。円周サイズですから同じ4Eサイズでも、①甲の高い人で幅の狭い人甲の低い人で幅の広い人が有ります。決して幅広=4Eではないのでご注意下さい。因みに「E表記」はJIS規格(日本工業規格)が定めたものになります。当然海外メーカーの登山靴に「E表記」の表記はありません。